アカペラのアレンジで考えること

前提

  • 基本的に「アカペラパーフェクトブック」を読んで、ちゃんと馬鹿みたいに実践すれば良いアレンジはできるので、この記事は、「アカペラパーフェクトブック」読んでから読むべき.

  • 勝手に自分が今の時点でアカペラのアレンジに対している持っている意識を書いているだけなので、編曲でどうやってやるんだろ?という問いに対する答えが書いてあるわけではない.

アカペラで表現する意味について

  • バンドやオーケストラ音楽とかのストリングスやギターとは違い、声ならではの表現をいかに活用できるかに尽きる
  • 声を最大限に活かせるかは編曲の腕にかかっている

良い編曲とは

  • 一つ一つの音/休符が、全パートでお互い有機的に絡まっている ※0
  • 一つ一つのコーラスやベースの旋律、パーカスの作るリズムに必然性を感じることができる. 美しさを感じることができる. *3
  • Pentatonixは一つ一つのパートが声でできる最大限のことを行っていて、それがなおかつ有機的に絡まっている. (Home FreeやVoiceplayにその点で勝っているというのも、世界で人気を博した理由の一つだと思う)

物足りない編曲とは

  • リード頼りの編曲、パーカス頼りの編曲
  • 原曲の良さに頼る編曲(歌が良い)

具体的な方法論について

  • 自分が今までに学び、そして手札として持っている方法論

声の魅力を最大限に活かす方法

  1. その人の声の特性に合わせる. 無理させない. その人の最高の表現を導き出す.

  2. コーラスのある1パートを歌ったとき、無理がなく、一つのメロディとしてきれいに感じれる、そのコーラスワークをうたいたくなるような、旋律をなるべく作るように心がける. 音飛びは避けるという楽譜の原則は、この美しさのためでもあるだろう. 一つ一つのコーラスワークの旋律の美しさに関しては、ゴスペラーズのpromiseやvox oneのcould you beliveを参考にしたことあり. m-pactもすごいが、マネは難しい. いつかできるようになりたい.

  3. 追っかけるコーラスを使う. 言葉付きで歌うので、これは楽器にはできない表現となり、必然的に声ならではの表現となる. Pentatonixは本当に最高の場所で追っかけるコーラスをいれる. アカペラパーフェクトブックにVox oneの松岡さんも書いてた気がする. アカペラパーフェクトブックに書いてある一つ一つのテクニックは、基礎的すぎて当たり前に見えるが、良いアレンジなんて、基礎的なテクニックの積み上げにすぎないので、一つ一つ馬鹿みたいにテクニックを盛り込んでみると意外と良い楽譜ができる.

  4. 歌うようなベースラインを作り上げるリズムを作るだけでなく、ベースライン単体だけで聞いても美しく聞こえるメロディ. ゴスペラーズやペンタは美しいベースラインが多く聞いてて心地が良い

  5. パーカスを最大限に活かすってのは、自分でも課題. これは、ビートボクスバトルとかから学ぶべきか?

  6. なるべく原曲の特徴的なギターのメロディやストリングのメロディは、使うときは気をつける. そのようなメロディは楽器のために作られたものであって、声にすると違和感がある場合が多い. 声にあったメロディを作るために、「元のメロディをすこしいじる」「原曲の和音進行からコーラスワークを作る」「まるっきり自分で新しくつくる」.
    (星野源のアイディアの編曲では、元のイントロメロディを少しいじった. スキマスイッチの藍や槇原敬之の冬がはじまるよのアレンジでは、原曲の和音進行からコーラスワークを作った. 和音進行をどうコーラスアレンジしたら良いかは、アカペラパーフェクトブックのテクニックしか使っていない. 本当にバカにならない. アンジェラアキThis Loveや今井美樹のPiece of my wishではあたらしいのを作った. あたらしいのを作るときは、一旦原曲にあるあらゆる楽器を忘れて、リードのメロディだけを頭にのこす. そこで、そのリードのメロディにつながるイントロを考える. そんな簡単にでてこないので、この作業にはとにかく忍耐が必要である. 諦めずに考え続ける. 期限がキたら諦める. )

  7. トップのコーラスは大事に作る. トップはよく聞こえるので、きれいなメロディにできるかできないかは命取りになる. *1

  8. コーラスにリズム、曲のグルーブを作り出しやすいような旋律を作る

  9. 原曲を壊して再構成する. 楽器用の編曲なので、リードだけ、コード進行だけ、グルーブ感だけ抜き取って、それだけ感じてみる. それだけ眺めてみる. そこから声で作るイメージを起こしてみる.

  10. 声の魅力とは関係ないが、曲中でリズムの感じ方を変化させる.

互いのパートを有機的に絡める方法

有機的に絡める最大の意味は、曲の進行をすべての拍を意味のある表現につなげるためである

  1. 間を埋めるようにパート同士を組み合わせる. 例えば、リードコーラスには、音が密に詰まっている部分と疎になっている部分がある. 疎になっている部分には他のパートが、(そのリードの疎を補うために)、(追っかけコーラスを入れたりして)音を蜜にする.

  2. 間をうまく使う. なんで、2つ目の項目を作ったかわからないほど、これは1. と同義. リード/コーラス/ベース/パーカスにはそれぞれ、音が密な部分と疎な部分がでるはず. お互いの蜜と疎を有機的に補う. どこかのパートが疎になったら、どこかのパートが蜜になる. ※2
    (例1. 追っかけるコーラスは、補う効果もある. リードのフレーズが伸ばしになっている部分で追っかけるコーラスを入れると、リードの疎の部分をコーラスを蜜にすることでうまく補うことができる. 例2. パーカスのフィル)

  3. 時間を意識した編曲. よくいろんな編曲者が、ストーリーを意識して!という部分. 時間軸を考えて、アレンジを作ることで、聞く側の気持ちの高低をうまく促すように心がける.

アカペラに使える音の配置や和音進行のテクニック

アカペラでは、コードの和音をコーラスの一人一人の声に当てはめることが多いが、そのときの、細かい気遣いが後の聴き応えを(気づかないうちに※3)左右する)

  1. 和音の展開形を変える. 同じコード進行をたいていの曲は何度も繰り返すと思うが、意図的な場合を除いては、和音の展開形を変える. 展開型への意識は音の配置を左右する. 美しい音の配置は、有機的な音楽を作る.

  2. ユニゾンとその解消の場面を作る. 単純なテクニックではあるが、意外と広がりが作れて、効果が大きい. 効果的な場所に入れないとチープに聞こえる. 声のユニゾンて、楽器のユニゾンとは違う美しさがある.

  3. 大事な和音の前に、sus4を使って解決させる. (くねくねさんの編曲にたくさん例がある. )

  4. V→Iの動きは、Vの展開形を大事にする. 解決感が最大に導かれる音の配置を見つける. 個人的にVはV7にだいたい変える.

  5. 一つの小節の中で、コードが変わらないが、動きを作りたいとき、展開型をいじる. 上昇形も下降形も作れる.

  6. 251の動きを使う.

  7. わかったようなことを書いているが、コードのことは知識が不快わけではないんので、完全に感覚で使ってる.    

編曲者のメンタル的な部分

  1. すべての要素に命をこめる.

  2. ユーモアを忘れない. 自分だからできる要素、自分だから生まれるアイディアみたいなのを楽譜に組み込む. すげーって言われるところを想像しながら作る.

  3. アカペラを聞くとき、あらゆる音楽を聞くとき、製作者側の気持ちを想像して聴く. そこから、良いアレンジのエッセンスみたいなものを抜き出して自分のアレンジに積極的に採用する.

  4. この記事に書いてあることを全部忘れる

  5. 自分なりのルールを作る.

最後に

とりあえず、2018年11月26日のこの深夜に、今自分が思いつくものをひたすら流れに身を任せて書き出した. おそらく表題のアレンジのときに考えることをすべて書き出すことはできていない. そしてまるで読まずに積み上げられ続ける積読本のように、要素が新しく生まれてはそれに対しての時間の要請が生まれていく. ひとつひとつの要素に対して時間かける前に、次の要素が生まれていく. 今回は、一つ一つの要素を吟味する大義よりひとつの体系を作る大義のほうが勝った形となった. この記事は、更新されるか、もしくは、続きという形をとるかで、何かしらあたらしいものにつながるだろう.  少なくとも私の意思はそれを求めているようである.

注釈

※0 これは、たぶんアカペラに限らない.

※1 ただ、ここでトップ頼りのアレンジが生まれたとしてもそれは問題である. バランスが大事である.

※2 蜜と疎という表現を用いて、しかも疎の部分は他のパートを蜜にすることで補わなければいけない、ということを言ったが、例外はたくさんある. 疎にする表現はたくさんある. 空白をあえて作る表現もある. そのときの空白は”意味がある”疎である. つまり言いたいのは、どんな一拍に対しても意味が消える部分、死ぬ部分を作るなということである. すなわち、音の密度が高い低いという意味での蜜や疎ではなく、意味がある→蜜、意味がない部分→疎、という解釈のほうが良いかもしれない.

※3 このページで述べているテクニックは大抵の場合気づかれない. 聞いてる人ならなおさらだ. ただ、無意識のうちに一つの一つのテクニックが聴き応えを左右している. 編曲者はその点、謙虚でなければならない.

By @HdmrF, Kai Akasaka in
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